トップを目指す意欲と相応の実績を有し、競技力向上のために新たな技術や手法を導入する活動として、福岡県スポーツ推進基金「令和7年度トップアスリート育成助成金(イノベーション導入助成)」の対象に決定しました。

申請者:福岡県立浮羽究真館高等学校ラグビー部
競 技:ラグビー
年 代:高校生

助成対象者

福岡県立浮羽究真館高等学校ラグビー部



助成対象活動

「トップクラブと連携したアナリスト事業部の設立 」
トップクラブと連携して高校生アナリストを育成する事で選手の競技力向上を目指す

【具体的な内容】
選手の技術面・戦術面の向上を目指し、ラグビートップチームに所属するコーチに監修いただき、ラグビー部員の中からアナリストを育成して選手の競技力向上を目指します。方法として、プロラグビーチームLeRIRO福岡所属のコーチから支援していただき現場での技術指導を通して、高校生アナリストが自走できる仕組みを作ります。

【現状分析】
◇導入する背景(課題等):
現在60名の部員を抱えており、近年では福岡県大会ベスト4以上の成績を収めることができているところですが、練習の強度やレギュラー争いの激しさが増す一方で、個に応じた客観的な技術・戦術指導がうまくいっていないというのが近年の大きな課題です。口頭でも即時フィードバックをするも正しく選手に伝わっているか不明であり、また映像にてフィードバックする場合も準備が煩雑でかなりのタイムラグがありフィードバックの効果が薄れるという状況でした。これらを専門家を配置することによって、映像撮影、即時フィードバック、個別の指導が可能になるのではないかと感じました。これまでは監督やコーチがスタッツをつけたり映像をまとめたりしていたのですが、かなりの業務量になっていて負担が大きくなっていました。
そこで、選手の中からアナリストを育てて代々分析ができるようになれば選手の競技力は向上するのではないかと考えました。分析についての知見を持った専門家が身近に伴走して教育してくれる環境が必要なのではないかと考えました。そこで、一番身近でありラグビーの技術・戦術・分析について豊富な知見を持つ、プロラグビーチームLeRIRO福岡のコーチに伴走していただくことで、高校生アナリストを育成するとともに、本ラグビー部選手の技術面・戦術面の客観的理解が進むとともに、具体的な分析方法や練習への活かし方までを包括的に指導可能だと考えました。

【実証方法・効果】
◇実証方法:
 LeRIRO福岡所属のコーチに監修していただき、高校生アナリストを育成します。具体的には、部員に技術・戦術に対する正しい知識を身につけさせるために、練習撮影をして即時フィードバックをします。また、高校生アナリストが対戦相手の映像を見て相手の弱みを分析していかに戦えば勝てるかをプレゼンします。さらには試合後に自チームの映像を見て分析してスタッツをとり、ここの選手に応じた指摘とチーム戦術に対する改善点まで指摘できるようにします。このような活動をLeRIRO福岡コーチと高校生アナリストで連携を取り合いながら進めていき、LeRIRO福岡コーチには高校生アナリストの育成に必要な指導を伴走して実施していただきます。そのようにして、高校生アナリストを育成してラグビー部内にアナリスト事業部を設立する事で、映像・分析面から競技力向上を目指すとともに、部員の技術・戦術の理解と実践力の向上を目指します。
教育方法:①練習分析(空中からの動画撮影と即時フィードバックで競技力向上を目指す等)。②試合分析(高校生が対戦予定の相手チームの映像をビデオカメラで撮影し分析できるようにする、分析結果を選手にわかりやすくプレゼンできるスキルを身につけさせる等)③スタッツ(次年度以降も継続可能な体制の構築のための知識・技能継承等)
実施方法:①高校生にドローンの使い方を教えて操縦できるようにします。②対戦予定の相手チームの映像をビデオカメラにて撮影して分析し、選手にわかりやすくプレゼンできるスキルを身につけさせます。③試合後に自チームのスタッツを取り、次の練習提案を行うことができるようにします。
分析方法:選手へのアンケートを実施して、アナリスト事業部設立前後での変化を記録し分析します。このような取り組みによって、最も効率的な分析項目や高校生でもできる分析方法について成果をまとめ、他校にも汎用できるようなものにしたいと考えています。

◇期待される効果:
高校生アナリストの育成により、常に選手自らが自分のプレーを映像で客観的に確認することができ、技術面・戦術面の理解、実践力向上を狙うことができます。また、高校生に対し、アナリストとしての将来の職業選択を示すことができると考えます。

◇翌年度以降の見通し:
ラグビー部員(選手)の中からアナリスト事業部の募集を行います。今年度の取り組みを次年度にも継承できるような文化づくりに取り組み、継続して選手を支える高校生アナリストの育成に取り組みます。また、今年度の活動内容(撮影技術、分析方法等)を報告書にまとめ、財産として蓄積して継承していきます。

【最先端・新規性】
◇国内での導入状況:
 今回のプロジェクトのように、トップクラブのコーチが指導者となり高校部活動に高校生アナリストを育成しようという事例は把握していません。各部活動でアナリストを育てる例はありますが、トップクラブのコーチが伴走しながら部活動の中にアナリスト事業部を設立しようという事例は把握していません。

【アイデア】
◇従来の手法や環境との違い:
 ほぼ毎日活動をしている部活動生の状況を把握するために、高校生アナリストを育成することやその手法として、トップチームのコーチに伴走していただき育成することが従来の手法との違いです。特に、これまでは監督やそのチームのコーチが分析を担っていましたが、高校生アナリストを育成することで、より選手目線の的確な分析ができるとともに、映像撮影技術や分析方法を蓄積、伝承することで成果や課題が明確になり、次年度へ向けての取り組みの質がさらに向上できるものと考えます。

【汎用性】
 ◇他のチームや競技における利用・応用の可能性
 高校部活動内にアナリスト事業部を設立し強化することは可能だと思います。また、その必要性もあります。特に多くの人数が所属する部活動では、監督が一人一人と細かくコミュニケーションをとり、映像について細かく指導するということは難しい面があります。特に練習中は全体を取り仕切る必要があるため、毎回止まって個別フィードバックは現実的に難しい面があります。今回のプロジェクトは、そういった個別アプローチを実現するとともに、映像で客観的に選手に把握させる利点があります。これは育成すれば高校生でも習得可能な技術だと思います。また試合映像の分析、スタッツの出し方なども伴走して時間をかけて定年に指導していけば身につけることが可能だと思われます。今回のプロジェクトがある程度の成果を見いだせれば、他校の部活動でも充分応用できると考えています。他校のラグビー部でも活用できるように、映像撮影技術や分析方法などの実際の取り組み方法について、デジタルデータとして残していきたいと思っています。