トップを目指す意欲と相応の実績を有し、競技力向上のために新たな技術や手法を導入する活動として、福岡県スポーツ推進基金「令和5年度トップアスリート育成助成金(イノベーション導入助成)」の対象に決定しました。
申請者:福岡県立浮羽究真館高等学校ラグビー部
助成対象者
福岡県立浮羽究真館高等学校ラグビー部(ラグビー)
助成対象活動
選手のコンディショニングの向上を目指し、ラグビートップチームに所属するコンディショニングトレーナーに監修いただき、ラグビー部員の中からトレーナーを育成して選手の競技力向上を目指します。株式会社エムティーアイが開発したコンディショニング専用のアプリケーションソフト「Atleta」を活用することでDX化を図るとともに、現場での技術指導を通して、高校生トレーナーが自走できる仕組みを作ります。
◇導入する背景(課題等):
現在58名(※申請時点)の部員を抱えており、近年では福岡県大会ベスト8以上の成績を安定して収めることができていますが、練習の強度やレギュラー争いの激しさが増す一方で、負傷者の人数が多くなっているのが近年の大きな課題です。また、負傷者のトレーニングを指導する人的余裕もなく、練習中は放置状態となっていました。昨年はスポット的にコンディショニングについてのセミナー等も実施しましたが、継続的な活動にはつながらず、負傷者の人数が15名を越える時期もあり、チーム強化に大きな打撃となりました。
◇実証方法:
Atletaを活用し、選手が入力した日々の自分のコンディション(身体の気になる部位、体調)を、コンディショニングトレーナーと高校生トレーナーで共有。また、その日に行ったトレーニング等も日々アップする事でコンディショニングトレーナーと高校生トレーナーの情報共有を密にします。あわせて、DXをスムーズに進めることができるように、コンディショニングトレーナーには実際にグラウンドに来ていただき、現場での知識の伝達や技能の実技指導など、高校生トレーナーの育成に必要な指導を伴走して実施していただきます。このような取り組みにより、高校生トレーナーを育成しラグビー部内に「トレーナー事業部」を設立する事で、選手の競技力向上、怪我人の減少と復帰後のパフォーマンスの向上を目指します。
◇期待される効果:
高校生トレーナーの育成により、プロのコンディショニングトレーナーが不在でも常にチームのコンディションを把握することができ、怪我の防止や怪我後の早期復帰に取り組むことができます。その結果、個人の能力低下を最低限に抑え、チーム力低下も防ぐことができます。
また、高校生に対し、コンディショニングトレーナーとしての将来の職業選択を示すこともできると考えます。
◇今後の見通し:
ラグビー部員を募集する際に、トレーナ事業部員も同時に募集し、次年度以降も継続して取り組みます。また、サポートいただくコンディショニングトレーナーには、日々のトレーニングや効果を、報告書にまとめていただき、トレーナー事業部の財産として引継ぎます。
◇国内での導入状況:
高校の部活動で高校生トレーナーを育成する事例は把握していません。コンディショニングトレーナーが月に数回来校してマネージャーにテーピングなどを指導する例はありますが、DXを活用して伴走しながら部活動の中でトレーナーを育成するをいう事例は把握していません。
◇他のチームや競技における利用・応用の可能性
選手は何かしらの傷害や怪我を抱えているので、競技力向上を目指す上でコンディションの把握や管理は必要です。本来であれば専属のコンディショニングトレーナーが直接高校生を指導するところですが、今回のようにDXを活用すれば、高校生トレーナーでも対応できると考えています。今回のプロジェクトがある程度の成果を見いだせれば、他校や他競技の部活動でも充分応用できると考えます。
目標
令和7年度第105回全国高等学校ラグビーフットボール大会 全国優勝